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2008年5月11日 (日)

グーグルGoogle―既存のビジネスを破壊する  佐々木 俊尚

Googleが既存の産業を破壊し、巨大化していく様を描いている。


Googleは1998年に誕生した、もともとは検索エンジンを手がける企業だった。
6年後には上場を果たし、現在15兆円を超える株式時価総額と9千億の資金を誇る、ハイテク業界で最も勢いのある企業だ。


Googleが2002年に始めた「グーグルニュース」が最初の破壊戦略である。

「グーグルニュース」というのは、数千もの世界中のメディア媒体から記事を10分おきに「グーグルボット」というプログラムが自動的に集めてくるサービスである。

このサービスによって、人々はメディアのスタンスに関わらず、自身の力でニュースの本質を見極められる機会が提供されるようになった。

もちろん反発も相当程度のものがあった。

代表的なのは、大手新聞社である。

自身が編集した記事を勝手にGoogleの1カテゴリーに貼られるのは著作権法違反であると反発した。
加えて、新聞社の広告収入源となっていた、バナー広告を素通りすることになってしまうのも反発した理由だったのだろう。

しかし、反発の嵐はすぐに収まった。

ニューヨークタイムズ紙などの大手マスコミでさえGoogleの力を認めざるを得なかったのだ。

もはや、誰もが「Googleが情報のハブ(中心地)になっている」ことに気付いているのだろう。

ここで、最初に大手新聞社と書いたのを思い出して欲しい。
大手ではない地方紙は反対しなかったのだ。

それは、グーグルニュースに掲載されることによって、多くのアクセス数が得られたからである。
知名度がない地方紙にとっては朗報であったのだ。


次にGoogleが壊しにかかったのは、パソコンソフト王者、マイクロソフトである。

マイクロソフトはOS「ウィンドウズ」で市場の90%を占有するようになってから長らくOSと抱き合わせる形で、オフィスソフトを開発・販売することで、ここ10年間、ハイテク業界を支配してきた。

しかし、2005年にGoogleが「Ajax」という、ウェブブラウザ上で、パソコンソフトのように起動できる技術を開発したことで、流れは傾き始める。

この技術とサン・マイクロシステムズが開発した「オープンオフィス」を合わせることで、お店で買うことも、インストール作業をすることなく、マイクロスフトと同じ性能を持つソヅトが、無料でしかもすぐに使うことができるのだ。

これに対し、マイクロソフトもコンテンツの充実を計り、Googleと真っ向から勝負することにした。


時を同じくして、Googleの破壊リストに載ったのが
「プロパイダ」業者である。

Googleは、サンフランシスコ州全域に、市民ならどこでもネットに無料で接続できるよう、無線LANを張り巡らしたのだ。

今後は同じサービスを全米に広げていく予定だそうだが、そうなると人々はプロパイダや電話会社などに対してお金を払わなくなり、ひとつの産業が消滅する。
Googleの破壊は徹底的なのだ。


最後に紹介するGoogleが破壊するものは、作家や出版社である。

2004年に始めた、「グーグルブックサーチ」というのは
、書籍の全文が検索できるサービスである。

Googleは売上げ増につながると主張し両者は一歩も引かない状況が続いている。

ここまで、Googleの破壊戦略を述べてきたが1つ疑問があるかと思う。

それは、破壊することでGoogleにメリットがるのか、
といった疑問かと思う。

新聞記事を載せることでも、ウェブ上で使えるソフトを開発したことも、無線LANの貼り巡らしも、蔵書検索も全て無料で提供している。

それではどうやってGoogleはお金を儲けているのだろうか?

決算発表の資料を見ると、それが明白である。

売上高15億7845万6千ドルのうち、15億5969万1千ドルが広告収入なのだ。

もはや、Googleは検索エンジン会社ではなく、巨大広告代理店なのである。

無料でインフラを提供することで、利用者を増やし、広告スペースを無限に増やしていくのだ。

これからのGoogleは、巨大な広告スペースを作り上げていくことと、世界の全データをデータベース化することである。

後者は2009年までには「人類の知」と呼ばれる分野は完了するといわれているから、これも夢ではないのかもしれない。


となると、Googleが人々の情報を把握し、人々の求めるものを提供していけることが可能となっていく訳だが、ここで不安な点がいくつかある。

ひとつは「個人情報の保護」はしっかりとしているのか?

今まで官がしていたことを民がやることに対して、しっかりとした保護網があるのか、懸念の1つである。

2つめは、「Googleから排除されることの恐怖」である。

Googleが全てを把握する時に、情報を生かすも殺すもGoogleなのである。

もし、Googleから排除されてしまえば、情報を発信することも受け取ることもできなくなってしまうのだ。

以上の2点が懸念材料であるが、Googleに期待することはかなり大きい。

現在の情報化時代において、今まで市場を占有してきた企業を次々に破壊していき、人々が求めるものを提供していく。
そんな1企業の力を知れる本です。

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コメント

始めまして♪ Mixiからきました。ポイントをまとめていただいて大変参考になったレビューです。

投稿: Juno | 2008年6月 6日 (金) 02時59分

Junoさん、お読みいただきありがとうございます!
書く側の人間として、Junoさんのコメントは大変心強いものです。

これからもどしどし書いていきますので、読んでいって下さい☆

投稿: トンティー | 2008年8月26日 (火) 13時51分

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