今日、ホームレスになった-13のサラリーマン転落人生 増田 明利
世界的不況による“100年に1度の不況”といわれる昨今。企業の業績がガタ落ちの今、職を失い、住む場所を失い、そして家族をも失った【ホームレス】になる方達が急増しています。昨年末の“派遣村”の現象は記憶に新しいことかと思います。そんな現状をより実感できる1冊がこの本です。この本には、大手商社や外資系投資銀行、起業した人など、実に多様なバックグランドを持っている方達が登場します。彼らの社会人としての人生を垣間見ることで、ホームレスになるということが他人事ではないことが実感できるかと思います。
■著者プロフィール
増田 明利(ますだ あきとし)
1961年生まれ。
高校を卒業後、ルポライターとして活動を続けながら、
現在は不動産管理会社に勤める。
2003年頃から格差に関心を持ち、取材を通して
ホームレスの代弁者としての活動も行っている。
■ホームレスの現状
▽平均年齢55.9歳。平均月収は5万円未満が80%を占める。
▽ホームレスになった主な原因は、「失業・倒産」、「病気や高齢で働けなくなった」ため。
▽ホームレスにも①定住型と②移動型の2タイプいる。①定住型は、高齢者や病人などの稼ぎのない貧しい者が公園や河川敷に暮らし、炊き出しや残飯に頼るタイプ。一方、②移動型は、日雇いや廃品回収などの仕事をして、サウナや簡易旅館を転々とする人。
■印象に残ったフレーズ
▽【サラリーマンというのは組織に所属しているから評価してもらえるんだ。辞めたら惨めなものだよ。】
→大手商社で財務部次長として働いていた方のメッセージです。自分では経理のスペシャリストと自負していたにも関らず、転職では一切評価されなかったとのこと。大手企業にいた人ほど、このような想いを持つことが多く、会社の外に出たら自分の力の無力さを感じるそうです。
▽【職探しでは年齢ではじかれ、家にいれば妻に邪魔者扱いされる。】
→職を失ってまずすることが、職探し。これは雇用保険(上限30万円弱を最長6ヶ月間受給される)をもらう事にも関係するのですが、人材会社や職安に通う日々が続くということです。ただ不況により人余りが続いている状況では、再就職も難しいとのこと。税理士などの資格を持っていても40歳までにしか条件のいい求人はないそうです。
→また、登場する全ての人々に共通することが、【離婚】。どの人も稼ぎがなくなった途端に夫婦仲が上手くいかなくなり、別れています。ある者は妻子に見せる顔がないからと家に帰らなくなった者、またある方は妻が子供を連れて家を出て行ってしまうケースがあります。
■最後に
この本を通して学んだことは、【現実をしっかりと見据える】ということでした。人生を幸せに過ごすためには、お金があればいいとか楽しい気持ちを持つことなど、条件は人それぞれでしょう。理想を追い求めるのは意欲的に生きていく上で必須の事ですが、夢見心地で終わっては得られるものも得られなくなります。そうならないためにも、現状を把握し、生活レベルを満たす事がまず必要になるかと思います。まして扶養家族がいる状況では、自分の事ばかり考えては生活が成り立たないでしょう。
今まで本を読むと、1歩踏み出す意欲をもらう事が多かったのですが、この本では足元を見直す機会を得られたと思います。頑張り時や踏ん張り時に諦めない自分でこれからもいたいものですね。
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